サステナブルな素材を考える、マッシュルームレザー(Mylea)でカードウォレットを作るワークショップ

FabCafe Tokyoにてマッシュルームレザー(Mylea)を使ったワークショップを開催しました

こんにちはkinaです。

渋谷道玄坂上にございますデジタルファブリケーションカフェFabCafe Tokyoでは2022.9/24~10/2にかけて店頭でWTF! Exhibitionが行われました。

インドネシアの企業Mycotech Lab(MYCL)の皆さんが開発したマッシュルームレザー(Mylea)の魅力が溢れた2週間の展示、ヴィーガンレザーの可能性を感じこれからの物作りについても改めて考えさせられるような貴重な機会だったように思います。

エントランス(©︎2022 MYCL)
Mylea各種展示(©︎2022 MYCL)
Myleaドアノブ(©︎2022 MYCL)

さてこの2週間の展示期間のうち1日ではございますが、マッシュルームレザーを使ってカードウォレットを作成するワークショップを開催し、今回私はファシリテーターを務めさせていただきました👏

マッシュルームレザーMyleaとは

皆さん、ところでテンペという食材はご存知ですか?

テンペ

私も『なんとなく聞いたことがある健康食品?』という程度の知識しかありませんでしたが、調べてみるとインドネシアでは500年以上も前から食べられているとてもポピュラーな食品でした。

茹でた大豆に「テンペ菌」を植え付け発酵させて作る、いわゆる発酵食品。このテンペを作る際の発酵技術を参考に、食品ではなく皮革を作ることに挑戦をしたのがMycotech Lab(MYCL)の皆さんです。

菌糸体とは(©︎2022 MYCL)
子実体(©︎2022 MYCL)

きのこには可食部の他に根が存在しています。この根の部分の菌糸体を原料に、マッシュルームレザー(Mylea)は作られます。耐水性が高くとても丈夫な為、品質は動物の皮革にも劣りません。

実際に触って体感した私ですが、1mmに満たないマッシュルームレザー(Mylea)は、繊細で上品な見た目ですが、人間の手で強く引っ張っても全くダメージが生まれず、確かに動物性に近しいものを感じました。

柔らかさで言うのであれば、牛のクロムなめしの革に近しいのですが、表面の質感は水分を含んだようなしっとりとした質感で、どちらかというと豚のタンニンなめしに近いような素材でした。

展示していた商品や作品

アパレル展示(©︎2022 MYCL)
HIJACK SANDALS(©︎2022 MYCL)
Pala X(©︎2022 MYCL)
APAKABAR(©︎2022 MYCL)

アパレル商品の展示も店内奥では行われていました。

マッシュルームレザー(Mylea)はそのしっとりとした上品な質感がとても特徴的で、アクセサリーの様に小さな作品から、ジャケットやサンダルの様に着用するタイプの大きな作品まで、どこに取り入れても落ち着きのある存在感があります。

私は特にAPAKABARの貼り合わせたマッシュルームレザー(Mylea)と金箔の相性にひかれました。

加工数値の算出

レーザーカッターで素材を加工する際には数値の算出が必要となります。勿論、今回の素材はとても特殊な例なのでカット・彫刻ともに何度も数値調整を行いました。

特に難しかったのが彫刻数値の算出です。

マッシュルームレザー(Mylea)はその薄さ故、彫刻を行っている際に本体が浮いてしまいます。その結果レーザーの焦点が合わなくなる為、彫刻がかすれて出てしまうということが何度も起きました。

彫刻の数値算出
浮くことで生じる彫刻ムラ

Airアシストを切り、彫刻を行うことでそれをある程度防ぐことはできたのですが、その代わりにレンズの曇りが多く出たり、強い彫刻になりすぎて質感を損なってしまったりしました。

調整はいつもより時間をかけた様に思います。

当日のワークショップの様子

デザイン

今回は10名の参加者の皆様と共にマッシュルームレザー(Mylea)を使ったカードウォレットを作りました。

オリジナルのイラストを彫刻する方や、イニシャルをワンポイントで彫刻する方、素材はそのまま!無地派の方など、其々のカードウォレットを考えていきます。

レクチャー(©︎2022 MYCL)
イラスト作成(©︎2022 MYCL)

加工の様子

事前に算出したカット・彫刻の数値を用いて加工を進めていきます。

加工前のセッティングでは、素材本体に浮きがでない様に入念に周りを重りで固定していきます。加工終了後には切り切れたかを丁寧にチェック。

カットのチェック(©︎2022 MYCL)
高さ調整(©︎2022 MYCL)
加工終了(©︎2022 MYCL)

組み立て

加工が終了した各々のマッシュルームレザー(Mylea)を見て個体ごとの柄の違いを見比べて楽しんでいる様子もありました。

金具は、レザーの打ち具と同じもので取り付けていきます。この日ご参加いただいていた皆さんは『レザーの金具付けは初めて!』という方が多かったですが、皆さんそれぞれのペースで順調に金具つけを行っていきます。

個体差を楽しむ(©︎2022 MYCL)
バネホックのとりつけ(©︎2022 MYCL)

金具をつける順番は、ますはバネホックから。

バネホックは『パッチン!』とカードウォレットを開閉する部分です。凸凹それぞれ別の打ち具を使用し取り付けていきます。

それがおわっったら、ウォレットの形に組み立てて中心をカシメで打っていきます。

バネホックを打つ様子(©︎2022 MYCL)
レクチャーの様子(©︎2022 MYCL)

完成

無事に皆さんのカードウォレット作成が完了しました。

ワークショップ後にはMYCLのチームと参加者の皆さんでマッシュルームレザー(Mylea)についてのお話をしたり、完成した作品を見比べながらゆっくりとした時間を過ごしました。

完成品
集合写真(©︎2022 MYCL)

ご参加いただいた皆様とご協力いただいた皆様へ

今回WTF! Exhibitionとワークショップに足を運んでいただいた皆様に改めて感謝申し上げます。

又、MYCLのチームの皆様やFabCafe Tokyoのチームの皆さんと共に無事にワークショップを終えられたこと、とても嬉しく感じました。

今回はマッシュルームレザー(Mylea)をメインとしたイベントでしたが、ワークショップで今回初めてデジファブツールに触れた方がいらっしゃいましたら、これがきっかけで何か物作りの扉が開いていたら幸いです。

まだまだ拙いファシリテーションではございましたが、有難うございました。またワークショップやデジファブツールの教室などでお会いできたら光栄です。

展示終了(©︎2022 MYCL)