アクリルケースを自作する-第2回-

『ピッタリサイズのアクリルケースが欲しい』『アクリルケースやアクリルボックスを自作してみたい』という方に向けて、今回はレーザーカットしたアクリルを使用してケースを自作してみました。

第1回では使用する材料やデータ作成の手順、アクリルの厚みを考えて展開図を作ることについてお伝えしてきました。動画内でも解説しておりますが、詳しくは以下の記事もご参照ください。

第2回では主にアクリルケースの組み立てについて説明していきます。アクリル同士の固定の方法や、接着のコツについて学んでいきましょう。

動画はこちら

アクリルケース作成

材料紹介/データ作成/加工/組み立ての一連の流れを動画で解説致しました。Youtubeにて公開中です。

アクリルの接着方法

アクリサンデー接着剤

アクリルケースを作成するには接着を行う必要があります。強度が求められるので、通常の多用途接着剤ではなくアクリル専用のものを使用しましょう。

アクリル専用の接着剤は粘度がなくまるで水のようにさらさらとしたテクスチャーの為、使用時にはスポイト(先が細い針になっているもの)や、注射器などを用いて素材に染み込ませていきます。

代表的なアクリル用接着剤がこちらのアクリサンデー接着剤です。購入すると本体とともにスポイトも針も付属しています。


成分は二塩化メチレン(ジクロロメタン)で、素材の表面を溶かして接着しています。つまり溶着するということです。アクリルで水槽などもこの溶着という手法で作られています。

アクリル接着時の注意点

保護シートを剥がさない

アクリルの保護シート

アクリルの接着剤は素材表面を溶かしてアクリル同士を接着する仕組みになっています。その為、接着箇所以外に接着剤がついてしまうとその部分が溶けたり、白く濁ったりします。

アクリサンデーで溶けたアクリル

この溶けや濁りをとるのはほぼ100%不可能です。正確にはやすりで粗い目→細かい目の順に何段階もやすりがけし、研磨剤で研磨すれば復活しますが、難易度がとても高いです。

その為アクリルの接着を行う際は接着する箇所以外は保護シートを付けておくと安全です。作業中の傷も防げるため、保護シートを付けたまま作業することを推奨いたします。

アクリサンデーをスポイトに移す時に吸い上げない

アクリサンデーにはスポイトと針が付属しております。スポイトなのでそのままアクリサンデーを吸い上げて使用したくなりますが、必ずスポイトを分解して中にアクリサンデーを注ぎ入れるようにしてください。この1工程をするだけで作業のしやすさが段違いです。

付属スポイトの分解

付属のスポイトは3つのパーツに分解ができます。1の部分にアクリサンデー接着剤を入れます。

液体を入れる部分

スポイトで吸い上げる様にしてアクリサンデーをスポイトに入れた場合、作業の途中意図しないタイミングでアクリサンデーがスポイトから飛び出てしまう可能性が高く危険でもあります。必ず分解して液体をスポイトに入れましょう。

接着方法

アクリルを組み立て固定を行う

アクリルの固定

面を間違えないように注意し、アクリルを箱型に組み立てていきます。特に最初の2面を正確に固定しましょう。最初をしっかり組み立てておくと残りの面の固定がしやすく、仕上がりもきれいになります。

全ての面を固定してから接着剤を流しても良いのですが、作業しにくくなりますので私の場合は大きなケースを作成するときは4面貼り合わせてコの字型にした時点で接着を行います。

小さなアクリルケースを作るときは、手元でくるくると簡単に向きを変更できるので全面固定してから接着を行っても良いです。

接着する

接着の様子

アクリルとアクリルの間にアクリサンデーを流しいれていきます。以下が綺麗に接着するkinacreate的コツです。

  • 多すぎず少なすぎず注入する
  • 固定したアクリルの角に自然とスポイトを当て、手前に引くだけ
  • 流し入れた後は少し圧をかけ、30秒ほどは固定する
  • こぼしてしまったときは焦らず『拭き取り』ではなく『吸い取る』

特に、最初は具合がわからないと思います。適量を流し入れるという部分は特に人によって具合が違うと思いますので、まず端材で練習は必須です。

少ない量で接着可能

初めて接着するときは恐らく『こんなに少ない量で接着できるんだ』と感じるかと思います。今回の箱の接着もスポイトの半分以下のアクリサンデーで全ての箇所が接着できました。

又、初めて行う時私もやってしまったのですが『間に流し入れるのだから隙間がないといけない』と思いこみ、折角固定したアクリル同士の隙間を少し指で広げるようにしてスポイトの針を入れ込み接着剤をながしていました。これは大きな間違いです。

固定した箇所に自然にスポイトを当て、手前に引いていくだけでアクリサンデー接着剤は毛細管現象でしっかりアクリルの隙間に染み込んでいきます。特別なことはしなくてOKです。

保護シートを剥がす

シートを剥がす様子

全ての面の接着が完了したら保護シートを剥がしましょう。剥がした後に、今一度接着箇所がしっかりと固定できているのか確認し、固定が甘い部分は再度接着剤を流し入れます。

最終チェックをして問題がなければこれで完成です。お疲れ様でした!

まとめとおすすめの接着剤

今回は2回にわたってアクリルケースの作成方法についてお伝えしてみました。アクリサンデー接着剤は正直初めて使うには難易度がかなり高いと思います。ですが、強度の面に関してはやはり絶対的だと思いますので、練習して使えるようになりましょう💪💪💪

それでもうまく接着には自信がないな・・・。という方には以下の接着剤がおすすめです。

ゴリラグルークリア


ゴリラグルーはアクリル以外にも使用可能な透明度の高い接着剤です。こちらも少し特殊な接着剤なので、使用方法を必ず読んでから使いましょう。

素材表面を一度濡らし、それから接着を行いますがこの工程を飛ばしてしまうとうまく接着ができません。

キレークレ

https://kirei-kure.com/

キレークレ。これは透明アクリルの接着において革命的とも行っていい接着剤です。様々な種類が出ており、今回のように少ない面積を接着するためのものや、逆に広い面を接着するタイプのものなど様々です。

こぼしても濁りが出ず、安心して拭き取りができる点がかなり作業しやすく、透明度・強度の面も大変優秀な接着剤です。

透明アクリル同士を綺麗に接着するのであれば1本持っておいて間違い無いですね。ただし金額は少しお高めなので、まずは小さいボトルから購入してみると良いです。意外と持ちますし、長期保存もOKですので。

是非、皆さんもアクリルケース作りトライしてみてくださいね。